真夏の夜、寝入りばなに「ブーン」というあの音。
蚊だ。間違いない。
目を閉じていても、その低く不快な羽音が鼓膜をくすぐってくる。
頭の中で反響し、眠気を一瞬で吹き飛ばす。
いや、吹き飛ばすどころか、起き上がって電気をつけ、退治モードに入る羽目になる。
だが、なぜ蚊はわざわざ耳元まで来るのか。
頬や足ならまだしも、耳のすぐそばでホバリングする意味があるのだろうか。
蚊が耳元に来る理由
蚊は人間の吐く二酸化炭素を頼りに獲物を探す。
呼吸のたびに吐き出される温かい空気は、蚊にとっては「ここに血があるぞ」という看板のようなものだ。
さらに耳の周囲は血管が多く、体温も高め。
おまけに髪や皮膚からは汗や皮脂の匂いが漂っている。
蚊にとっては立ち寄らずにはいられない“高級レストラン”というわけだ。
羽音の不快さの正体
あの「ブーン」という音は、蚊の羽ばたきによるものだ。
蚊は1秒間におよそ400~600回も羽を動かす。
その羽音は500Hz前後の音として人間の耳に届く。
耳元という至近距離で鳴らされれば、小さな音でも脳は「危険信号」として拾い、不快感が跳ね上がる。
これは生物が危険を察知するための防衛本能でもあるらしい。
耳元ブンブンを避ける方法
- 扇風機を使う:蚊は風に弱く、近寄れなくなる。
- 蚊取り線香や電子式の駆除器:二酸化炭素に引き寄せられる前に退治する。
- 就寝前の換気とシャットアウト:部屋に蚊を入れないことが最重要。
つまり、耳元に来るのは嫌がらせでも気まぐれでもない。
彼らにとって耳は、音と匂いと温度の三拍子が揃った“最高の標的”なのである。
……そう理解しても、あの音を許す気には到底なれないのだが。
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