たまに見かける。何が出てくるかわからない、格安の自動販売機。
大抵は地方の駅前や、年季の入ったパチンコ屋の軒先にひっそりと佇んでいる。見つけた瞬間、「うわ、出た」と足が止まる。そこには懐かしさと胡散臭さ、そして微かな高揚感が混ざり合っている。
冷静に考えれば、喉を潤したい飲み物は他にある。しかし、ボタンの前に立つと、脳内の「庶民的な煩悩」がささやき始めるのだ。
「いや、ワンチャン、アタリが出るかもしれない」
「五十円だし、損はしないでしょ?」
抗えずに、指が動く。
ガコン、という重苦しい音を立てて転がり出てきたのは、紫色の正体不明な炭酸飲料。
予想通り。いや、期待通りと言うべきか。結局、一口飲んで首をかしげ、隣の自販機で「ちゃんとしたお茶」を買い直すことになる。
二本の缶を持って歩く自分の姿は、控えめに言っても少しダサい。
けれど、その無駄な出費と遠回りに、なぜか少しだけ口角が上がっている自分に気づく。
人生も、この五十円の賭けに少し似ているのかもしれない。
「欲を持たず、賢く生きよう」と思いながらも、どこかで予想外のラッキーを願ってしまう。たとえ結果が「外れ」であっても、そのプロセスを笑い飛ばせるなら、それはもう十分な「当たり」なのだ。
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