サンマの塩焼きになぜ大根おろしを添えるのか
秋の味覚といえば、やはりサンマの塩焼きである。
香ばしく焼き上がったサンマに、大根おろしをそっと添える光景は、もはや定番の一皿といえよう。
だが、なぜそこに大根おろしなのか。
ただの飾りではなく、そこにはきちんとした理由がある。
脂をさっぱりさせる
旬のサンマは脂がのって旨い。
だがその豊かな脂は、ときにくどさをも感じさせる。
そこで大根おろしの出番である。
辛味とさっぱりした風味が脂を中和し、口の中をすっきりと整えてくれる。
脂とさっぱり感、この対比があるからこそ、サンマの旨みは一層際立つのだ。
消化を助ける働き
大根には「消化酵素」が含まれている。
サンマの脂やたんぱく質を分解し、胃もたれを防いでくれる役割を果たす。
理屈を知れば知るほど、大根おろしはただの添え物ではなく“名医”のような存在に思えてくる。
栄養のバランスも整える
サンマはDHA・EPAといった良質な脂、ビタミンB群が豊富。
一方の大根おろしはビタミンCや食物繊維を含む。
互いの弱みを補い合うように、一皿の中で栄養バランスが完成する。
目にも美しい組み合わせ
黄金色に焼けたサンマと、白く透きとおる大根おろし。
そこにすだちやかぼすを添えれば、色彩と香りの調和が生まれる。
まさに「秋の食卓を演出する景色」といえよう。
まとめ
サンマに大根おろしを添えるのは、単なる慣習ではない。
味覚・消化・栄養・見た目──すべてにおいて理にかなった組み合わせなのである。
こうして考えると、秋の一皿には先人の知恵と感性が凝縮されていることに気づかされる。
ちなみに私は、脂と大根おろしを口の中で一緒に楽しむ派である。やはりこの組み合わせが、一番しっくりくるのだ。
