「今を生きろ」という言葉は、よく耳にする。
SNSでも自己啓発書でも、何かにつまずくたびに繰り返されるフレーズだ。
だが、それは本当に可能なのか。私はいつもその言葉に疑問を持ってしまう。
「今を生きろ」に感じる違和感
なぜなら、私たちは未来のことを無意識に考えずにはいられないからだ。
明日の仕事の予定、来月の支払い、来年の目標。
それらを考えずに「今だけ」を生きることは、ほとんど不可能に近い。
たとえば、旅行先で財布の紐を緩めて散財したとしよう。
「せっかくだから」と「今を楽しむ」つもりで使ったお金。
しかし、帰宅後に通帳の残高を見ると、後悔が襲ってくる。
それもまた、「今を生きた」結果なのである。
未来を考えずには生きられない私たち
つまり「今を生きろ」とは、単に刹那的に行動しろという意味ではない。
未来を捨て去ってもいいということでもない。
それは、過去と未来という二つの時間軸を背負いながら、
「今」という瞬間に責任を持つことなのだ。
それでも「今を生きる」ためにできること
過去の自分から学び、未来の自分のために準備しつつ、
目の前の行動に心を込める。
それが人間らしい生き方であり、「今を生きる」という言葉の本質だと思う。
言葉の矛盾を受け入れ、完璧を求めずに歩む。
そんな生き方こそ、私たちにとっての「今を生きる」ことなのではないだろうか。