レストランでトイレに立ちたくなる。
たったそれだけのことが、一人旅ではちょっとした悩みの種になる。
食事中、荷物を残して席を離れるのは不安。
かといって、全部持って立ち上がれば店員に食い逃げだと思われそうで、妙に落ち着かない。
そんなとき、私は決まってこうする。
バックパックのショルダーストラップを椅子の足に通し、その上でカラビナで椅子に固定する。
これが、私なりの「防犯3点セット」だ。
もちろんウェイターにトイレはどこか聞くだけで私がトイレに行ったと認識してもらえるだろう。
バックパック派にこそ向いている方法
そもそも私は、一人旅ではバックパック派だ。
両手が空くし、ちょっとした段差や舗装の悪い道でも気にせず歩けるからだ。
ただし難点もある。
バックパックは、置き引きされやすい。
だからといって、トイレに行くたびに荷物をすべて持っていくのは現実的ではない。
特に海外のカフェやレストランでは、屋外席も多い。
開放的な空気の中でのんびり過ごすのは気持ちいいが、荷物にとっては無防備な空間でもある。
ストラップを椅子に通すだけで、盗難リスクが激減
私がよく使うのは、ショルダーストラップを椅子の足に通す方法。
通すといっても難しいことではない。
片方のストラップを椅子の足にくぐらせて、反対側を座面にかけるだけ。
こうするだけで、「あ、これは簡単には持ち去れないな」と思わせる効果がある。
実際、ひと目でわかるこの“ひと手間”だけでも、狙われにくくなる。
カラビナが最後の一押し
さらに私は、バックパックにカラビナを取り付けている。
普段はタオルや帽子をぶら下げるためだけれど、レストランではこれが役に立つ。
バッグのループと椅子にカラビナで接続してしまえば、荷物を持って逃げようとしてもワンテンポ遅れる。
その一瞬が、抑止力になる。
ただしカラビナが引っ掛けることのできる形状の椅子であるのが条件だ。
旅先では、完全な防犯は難しい。
けれど、ほんの少しの工夫と心がけで「安心」はぐっと増える。
席を立つ不安から、ちょっと解放される
「何か対策をしている」という意識は、旅の心にも余裕をくれる。
たとえ完全に防げなくても、自分なりに準備しておくことで、不安が軽くなる。
一人旅では、すべてを自分で決め、自分で守らなければならない。
だからこそ、こうした地味な工夫こそが、旅を支える大事な要素になる。
ちょっとしたカラビナとストラップの使い方で、席を立つときの不安が減るなら、それは私にとって大切な旅の知恵だ。