旅に出ようと思ったのは、別に大きな理由があったわけじゃない。
ただ、なんとなく毎日が同じことの繰り返しで、気持ちのどこかがちょっと重くなっていた。
そういうときって、ちょっと遠くに行ってみたくなるものだ。
行き先は適当に決めた。ガイドブックをパラパラめくって、写真がきれいだったから。
宿もネットでさくっと予約して、あとは鞄ひとつ持って、電車に乗った。
自分のペースで動ける気楽さ
ひとり旅の良さって、何より「自分のペースで動けること」だと思う。
誰に気を遣うこともなく、行きたいところに行って、疲れたら無理せず休む。
「ここ気になるな」と思った道を、ふらっと曲がってみるのもいいし、
「今日はもう歩きたくないな」と思えば、カフェでぼーっとしていてもいい。
普段の生活ではなかなかできない、“自分勝手”な時間が、ひとり旅にはたっぷりある。
ちょっとしたことで、自信がつく
旅先では、道に迷ったり、思い通りにいかないことも多い。
地図を読み間違えたり、宿の場所がなかなか見つからなかったり。
けど、そんな小さなトラブルを自分で解決していくうちに、
「なんとかなるもんだな」と思えるようになってくる。
別に大したことじゃないけれど、そういう小さな“できた”が積み重なると、
不思議とちょっとだけ自信がわいてくる。
ふだん気づかないものに心が動く
見知らぬ街を歩いていると、いつもなら素通りするようなものが目に入る。
たとえば、軒先の鉢植えだったり、商店街の古い看板だったり、
朝の空気の匂いだったり、風の音だったり。
そういう些細なものが、なぜかじんわり心にしみる。
「自分、まだこういう感覚あったんだな」と、ちょっと安心したりもする。
旅の終わりに思ったこと
帰りの電車の中で、ふと「来てよかったな」と思った。
特別なことは何もしていないけれど、
日常では味わえない静かな時間が、自分の中にちゃんと残っていた。
旅って、気分転換でもあるけど、自分を整える時間でもあると思う。
それも、誰に見せる必要のない、ひとりきりの“再起動”みたいな時間。
おわりに
ひとり旅って、特別な人だけがやるものじゃない。
旅行慣れしてなくても、近場でも、日帰りでもいいと思う。
「ちょっとだけ日常から離れて、自分のペースを取り戻す」。
それだけでも、十分意味がある。
そして、そんな時間が、思っているよりずっと
自分にとって価値のある“自己投資になるんじゃないかと思ってる。