少し昔の話になるが、ほんの短い間だけウクレレに夢中になったことがあった。
その時に手に入れたウクレレのことなど、すっかり忘れていたのだが、最近ふと部屋の片隅から出てきた。
それは、アストリアス製のウクレレだった。
このウクレレの前に使っていたのは、フェーマスというブランドのもので、確か7,000円くらい。合板で作られていて音もややチープだったが、むしろそれがウクレレらしい軽やかさを醸し出していて、味わい深かった。
ただ、アストリアスのウクレレを手にしたときは衝撃だった。
音の伸び、艶、響き…まさに「楽器」としての完成度が段違いだったのだ。
そのタイミングでウクレレを始めたがっていた友人に、フェーマスのウクレレは譲った。
今も弾いているかどうかはわからないけれど、そのときは喜んでいたな。
あの頃は、形から入るのが楽しくて、アロハシャツに白いパンツ、白いデッキシューズまで揃えていた。
ちょっとした南国気分だった。
けれど、次の年あたりから仕事が忙しくなり、いつの間にかウクレレに触れることもなくなってしまった。
最近になって少し時間に余裕ができてきた。
またポロンと音を鳴らしてみたい、そんな気持ちがふと湧いてくる。
もし「ウクレレ、ちょっと気になるな」と思っている人がいたら、ぜひ試してみてほしい。
安価なものでも、合板のチープな音でも、ちゃんとハワイの風は感じられる。
手軽で楽しくて、気持ちまで軽くなる楽器。それがウクレレだ。